top of page
執筆者の写真Yasuko Takeuchi

【お役立ち情報】額縁のサイズについて

更新日:2022年12月8日

フランス額装の生徒さんからよくあるご質問に、額縁の選び方があります。


日本の額装店に、額装したいもの=作品(絵画や、手芸作品、刺繍作品など主役になるもの)を持って額縁の相談にいくと、その作品よりもひと回り大きい市販サイズの額縁を提案されることが多いと思います。

一番簡易なものですと、市販サイズのマットボード*を、作品の見せたい部分に合わせて窓を抜き、マット紙に作品を固定して額縁に入れる、ということになります。

*表面にいろがみが貼ってある1〜3ミリ厚の額装用厚紙。数十種類の色から選べる。




その場合額縁の内寸は当然決まっていますので、縦横比の違うドキュモンをその額縁に入れれば、余白の幅は作品によって縦が広くなったり横が広くなったりします。作品を<額縁に>合わせることになるんですね。


フランス額装では、作品ありき、ですので、額縁を<作品>に合わせます。


フランス額装では、まず、作品の見せたい部分の窓の大きさを決めたら、その窓の大きさに合わせて、上下左右、均等に余白を取っていきます。もちろん、わざとアシンメトリーに余白を取りたいデザインの場合は例外ですが、基本的に余白幅が均一であるのが美しいとされているからです。


そうして出来た額装作品をフランスの額装店に持ち込むと、出来た大きさに合わせて額縁を作ってもらえます。

店頭で好きな竿(額縁になる前の棒状のもの)を選んで、その場で少し待っていれば、希望の大きさに組み上がった額縁を持ち帰ることができるのです。


対して、日本で額縁をオーダーで作ってもらうのは、その場で組み上げしてくれるお店はもちろんないですし、価格的にもまだまだハードルが高い状況です。

レッスン代よりも高価な額縁を毎回購入する、となってしまうと、荷が重いですよね。


以前フランス額装を習いたての方が、「額装作品が出来上がるたびに(オーダーするのは大変だから)額縁もいつも手作りしている」と仰っていました。

オーダー額を買うのは確かに費用も時間もかかりますが、毎回3ミリマットを切って額縁を作るのも大変な労力が必要なので、「既成の額縁に合わせてお作りになったらどうですか。」とお話ししたことがあります。


当教室で作品を作る際には、国内で販売されている既成額などをうまく利用して作品を見栄え良く飾っていただけるよう、額縁について色々なご提案をしています。


その一つが、ポストカードなどのハガキサイズであれば、市販の<インチ>というデッサン額に入れること。このサイズはデッサン額の中でも一番小ぶりで価格ももちろんリーズナブル。


インチサイズの額縁は内寸が254ミリ×203ミリ*に出来ています。

この額縁に入れる額装作品(マット)は、当教室では253ミリ×202ミリで制作しています。

ここにハガキサイズ(148×100)のドキュモンを額装する場合、窓のサイズをひと回り小さく144×96とすると、上下左右に50ミリ強の余白が取れます。

<余白の計算方法>(254ー144)÷2=55、(202ー96)÷2=53

長辺と短辺の差は、わずか2ミリです。

この余白幅で額装マットを制作すれば、ほぼ上下左右の余白が均等の美しい額装作品となります。

*メーカーにより多少の誤差あり


フランス額装では、最近は余白幅をあえて大きく取るスタイリッシュなデザインのものも多くありますが、そういった場合はデッサン額のサイズ<八つ切>や<太子>というサイズでうまく縦横比が取れないかどうか、検討・提案しています。


また、奥行きが出るデザインをしたり、立体物を額装したい時などは、ボワッタージュといって、箱の中に作品をディスプレイするような額装になりますが、そんな時は、<ボックス額>という名前で売っている額縁をあらかじめ用意して奥行きを合わせていただくと、仕上げの際の裏板処理がグッと楽になります。


オーダー額の普及はまだまだですし、今後もフランスのように気軽に額縁を作ってもらえる環境になる未来は、あまり期待できませんが、最近はインテリア雑貨店や、イケア、ニトリなど、いろんなお店で豊富なデザインの額縁が安く手に入るようになりました。

既成の額縁も上手に利用して、ぜひ自分だけの額装作品制作を愉しんでいただけたらと思います。




閲覧数:237回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page